- Blog記事一覧 -ストレスと腰痛の密接な関係:心因性腰痛のメカニズムと予防と対策
特に腰へ負担がかかるようなことをした覚えがないのに腰が痛くなるようなことはないですか?
先日も、腰が痛くて仕事へのやる気がでてこないという50歳代女性の方がご来院されました。
きっかけを聞いても、思い当たることはないということでした。
治療後に、ちょっとした近況のお話をきっかけに、最近、イライラする出来事が頻発してて、そういえば、その後に腰が痛くなったような気がするという発症したタイミングが聞けました。
つまり、ストレスが積み重なって、腰痛が起きるきかけとなったということです。
実は、こういった原因が不明の腰痛の約90パーセントは、
「心因性腰痛」
と呼ばれるストレスによって引き起こされる腰痛の可能性があります。
そこで今回は、この心因性腰痛が発症するメカニズムとその対処法について紹介さえていただきます。
このブログを読んでいただけることで、日々の生活で受けるストレスによって腰が痛くなることを解消できます。
人間は、ストレスがたまると、自律神経が乱れて体調の不良を引き起こし、その一つに心因性腰痛があります。
まず、自律神経は、自分の意志とは関係なく、体の機能を自動的に調整する神経のことです。
例えば、呼吸や消化、体温調節などの生命を維持する機能を管理してくれる神経です。
自律神経には、2つの分化した神経があります。
自律神経が、体の中や周りの状況から情報を受け取ることで、一つは、体の機能を活発にする「交感神経」です。
もう一つは、回復やリラックスの機能をすすめる「副交感神経」の二つです。
この二つの神経が日常生活でバランスよく働くことで、体へ健康を維持できます。
それぞれの働きは、以下のイラストで記したように分かれています。
では、ストレスがかかると。自律神経にどう影響するのでしょうか?
それは、人間が何らかのストレスを受けると、危機的状況と判断して、体を守るために、体を活動的にさせる「交感神経」が活発に働きます。
そして、このストレス状態が、長時間、続くと、交感神経も働き続けます。
交感神経は、血管を縮める機能があり、血流を悪くします。
また、副交感神経が活動する比率が減るために、体が回復モードとならない。
このように、ストレスは、自律神経のバランスを崩してしまいます。
人間が二足歩行に進化したことで、その姿勢を維持するためには、体全体の中でも特に、腰からお尻の筋肉に負荷がかかります。
ストレスによって、交感神経が活動して、血管が縮まり血流が悪くなると、日常生活で特に負荷がかかる腰やお尻への血流が不足します。
そうすると、腰やお尻が活動するためのエネルギーや老廃物の回収ができなくなります。
結果、腰やお尻の筋肉が固くなり、腰痛を引き起こしてしまいます。
ですので、レントゲンやMRIで検査をしても、画像では異常を認めず、原因が不明の腰痛と判断されます。
ストレスは毎日蛇口からポタポタと流れる水のようなものです。
コップからストレスという水があふれたときに、今回のような腰の痛みという形で発症します。
まずは、「ストレスは自然に消滅するものではない」ということです。
今回のようにストレスが原因で起こる腰痛は、ストレスの度合いが、限界であるという危険信号です。
自分では知らず知らずのうちにためこんだストレスが、腰痛という形で発信されます。
しかも、ストレスがたまると何度でも腰痛が発症します。
ですので、 腰痛を我慢したり後回しにせず、危険信号だと受け止め、ストレスによって乱れた自律神経を整えることをおすすめします。
以下で、自律神経を整える方法を紹介させていただきます。
朝、ギリまで寝て、起きてすぐに仕事や学校に行くために、急にバタバタ動くことで、体にストレスが高まり、自律神経が乱れます。
寝ているときは回復モードである副交感神経が優位ですので、起きて仕事や学校で活動するために交感神経が優位になるように切り替えるための時間を取ってください。
そのために、今より30分前に起床を目指すことをおすすめします。
寝ているときは、汗をかきます。
朝、起きたときに、ノドがそれほど渇いていなくても、体は脱水状態です。
体に水分が足らない状態も、無意識下でストレスを感じます。
ですので、朝起きたら、水をコップで一杯分飲んでください。
飲むときのルールとしては、胃腸にストレスを与えないように、白湯か常温の水を、一気に飲むのではなく、ゆっくり飲んでください。
ストレスによって高まった交感神経を鎮めるには、適切な温度の湯船につかることが有効です。
39度から41度ぐらいの湯船に、首まで、できれば5分ほどつかってください。
そうすることで、体温も上がり、血流が良くなり、神経とともに筋肉も緩まり、腰痛が軽減します。
睡眠中は、副交感神経が優位になることで回復モードになる。
ストレスによって交感神経が優位にまま睡眠を取ると、睡眠の質が下がり体が回復でせず腰痛を引き起こします。
睡眠お質を上げるためには、先ほども紹介した湯船につかり、体温を上げることが必要です。
いったんあげた体温が下がってくる過程で寝ることで、質のいい睡眠モードになる。
また、夕食は寝る3時間前に済まし、スマホやパソコンは寝る30分前にはひかえるようにすることで、睡眠の質は上がります。
運動すると、ストレスを解消するためのホルモンが分泌されます。
運動といっても、息が切れるほどのがっつりとスポーツまでしなくても大丈夫です。
ラジオ体操程度で体を動かすことを、隙間時間におこなってみてください。
自律神経はコントロールできないと説明させていただきましたが、唯一の例外が呼吸です。呼吸をゆっくりすることで、副交感神経が高まり、交感神経を落ち着かせます。
自律神経を整える深呼吸の方法としては、3〜4秒かけて鼻から息を吸って、ゆっくりと6〜8秒かけて口から息をはいてください。
爪の根本の部分には、「井穴(せいけつ)」と呼ばれる自律神経の調整に関するツボがあります。
交感神経の活動を抑えるためには、親指・人差し指・中指・小指の井穴(せいけつ)を写真のように、爪の横から指ではさんで刺激をしてください。
薬指の井穴(せいけつ)は、副交感神経の活動を抑えるので、今回のようなストレスが原因の腰痛の際には、刺激するのは避けてください。
統計では、日本においては4人に1人は腰痛を感じていると報告されています。
腰痛のパターンもいろいろとありますが、検査しても原因がよくわからない腰痛は、ストレスによるものの可能性があります。
その対処の方法として、今回、ブログで紹介させていただいたことがみなさまのお役に立てれば幸いです。
もし、心因性の腰痛がそれでも解消しないようでしたら、お近くの治療院で、自律神経を整えるための治療を受けていただくことをおすすめします。
当院でも、今回のようなお困りの事象に対しての施術をおこなっておりますのでご相談ください。
当院では、痛みに対して治療を施すことはもちろんのこと、患者様のお悩みや希望するご自身の将来像ことを、しっかりお聞きし共有させていただきます。
そして、患者様とともに問題を解決していく治療院を目指しております。また、他のブログでも腰痛への対策を書いておりますので、参考にしていただければ幸いです。
監修 柔道整復師 はり師 きゅう師 ひさき鍼灸整骨院 院長 久木崇広