膝関節は、身体を支え歩行をスムーズに行うために重要な役割を担っています。大腿骨と脛骨の関節面は、関節軟骨というしなやかさと強度を兼ね備えた滑らかな軟骨で覆われています。
関節軟骨は、衝撃などを吸収するクッションの役割と、骨と骨の摩擦を防ぐ役割を担っています。また、関節は関節包という袋に包まれていて、この内側には滑膜という膜があります。滑膜からは、ヒアルロン酸が豊富に含まれた関節液が分泌され、潤滑油となって関節のスムーズな動きを助けています。この関節軟骨と滑膜から分泌される関節液の働きにより、膝の関節は滑らかに動くことができるのです。
何らかの影響(加齢や体重増加・膝の酷使など)を受け続けると、軟骨に裂け目ができてきます。これが深くなると、関節軟骨の細胞を作っているコラーゲンやプロテオグリカンが失われていくため、軟骨がもろくなってしまい、徐々にすり減っていきます。さらに、関節液中のヒアルロン酸の濃度が関節液量とともに減少していくことにより、滑らかだった軟骨の表面はザラザラになり、関節軟骨はクッションの役割をしっかり果たせなくなってしまいます。
このことが原因で、膝が強ばり動かしにくいといった症状が現れてきます。また、膝関節周辺の筋肉の緊張・低下により靭帯・筋付着部の炎症を起こす場合もあります。大腿骨と脛骨のつなぎ滑車の役割をする膝蓋骨の状態にも注意する必要があります。
膝の痛みは加齢の為と診断されることもあります。そのような診断をされたとしてもあきらめず、現在の状態でできることをコントロールする必要があります。
特に〝歩く〟といった日常生活動作の基本行動に制限が出ることは、体力や意欲の低下につながります。治療をおこなうことで痛みや可動域をコントロールしていく必要があります。