- Blog記事一覧 -調理の仕事による腰痛でお悩みの50歳代女性の方に知ってほしいその理由とケアの方法
先日、50歳代の女性の方が、腰痛で来院されました。
その方は、最近、某王手飲食チェーンの調理補助のパートに採用され、仕事を始めたと。
面接の時には、お皿洗いがメインになると聞いていたが、野菜が素早くキレイに切れるということで、そちらの方がメインになったそうです。
正社員の方から、すごく助かると評価してもらえたのはうれしいものの、前屈みで野菜を切り続けていると、腰が痛くてたまらない。
職場は、雰囲気もよいので続けていきたいということで、腰のメンテナンスに来たというお話をうかがいました。
そこで今回は、50歳代女性の方が、野菜をきる調理補助で腰が痛くなる理由と、自宅でできるセルフケアの方法を紹介させていただきます。
このブログを読んでいただくことで、50歳代の女性の方が技術をフルに使っても、調理補助のお仕事を続けることができます。
50歳代の女性の方は、いろいろな経験をされて能力が高いので、パートを雇う側も求めている年齢層だそうです。
そんな人材的に優秀な50歳代女性が、職種の中でも、調理補助を行うことで腰痛をひきおこしてしまう要因を以下で紹介させていただきます。
50歳代の女性の方に、唯一問題があるとしたら、50歳から急激に落ちる
「筋力」
です。
女性の筋力の研究では、20歳代が筋力量のピークで、50歳代から急激に筋力量が低下し、70歳代になるとピークの半分ほどの筋肉量になると報告がされています。
筋力低下の理由としては、加齢によりホルモンの量が低下や筋肉の繊維が細くなるためです。
そのため、今回の患者様のように、調理で能力や技術をフルに発揮することで、低下して腰周辺の筋力では耐えきれず、腰痛を引き起こします。
調理の仕事は、前屈みの姿勢をとります。 この前屈みの姿勢が、腰の骨に負荷をかけます。
人間はずっしりと重たい頭を背骨で支えます。人間の頭は、体重の10パーセント程度の重量です。
例えば、体重60キログラムの人であれば、頭の重さは約6キログラムです。
この頭の重さは、良い姿勢で立っているときの背骨には、そもままの重さで負荷がかかります。
しかし、野菜を切るといったような、前屈みの姿勢になると、背骨への負荷が変わってきます。
負荷の変化の度合いは、頭が30度前に傾くと、頭の重さの約3倍の重量が背骨にかかり、60度前に傾くと、頭の重さの約4.5倍の重量が背骨にかかりります。
これは、例えば、ボーリング球を両手で持って、頭の真上で持ち上げるときは、ボーリングの球の重さしか感じません。
しかし、両手で持ったボーリングの球を、体の前方に30度、60度と倒していくと、従来のボーリングの球以上に重さを感じます。
このように、前屈みの姿勢になればなるほど、頭の重量の負荷が増えて、背骨に負荷がかかっていきます。
背骨は、人間の体を支える柱です。この柱は、1本の棒ではなく、24個の円柱の背骨がつながってできています。
そのため、背骨は柔軟性が高く、あらゆる方向に曲げることができます。
前傾姿勢では、背骨の中でも、特に腰の骨に負荷が集中します。
例えば、釣ざおに重たい魚がかかった際に、魚の重みがかかっているのを感じるのは、釣ざおを支えている手元の部分です。
魚がかかった釣ざおの手元に当たる部分が、人間の背骨では腰の骨の部分になります。
その証拠に、頭を前に倒した中腰姿勢は、普通に立っている時より、腰の骨に1.5倍の負荷がかかるという研究報告がされています。
つまり、調理姿勢のような前屈み状態の腰の骨を支えるために、他の背骨の部分よりより多くの筋力が必要です。
そんな筋力が必要な前屈みの姿勢で、筋力が低下する傾向にある50歳代の女性の方が、調理をすることで腰痛をひき起こしてしまいます。
調理のお仕事をしている50歳代女性の方が起こしがちな腰の痛みへの、自宅で簡単にできるケアの方法を以下で紹介させていただきます。
調理中は前屈みに姿勢をとることは避けられません。
しかし、前屈みの姿勢でかたまって、クセにならないようにする必要があります。
前屈みの姿勢を矯正する方法として意識してほしいのは、
「重心を後ろにする」
ことです。
背骨を体の中心に持っていくには、後ろに70パーセント重心を持っていく必要があります。
そのためには、壁に体の背部を向けて、 後頭部・肩甲骨・お尻・かかとの4点が壁につくように立って、姿勢の確認をしてください。
立つポイントとしては6つで、
・ アゴをしっかりと引く
・両肩を引いて胸を張る
・腰をそらせる
・ひざをまっすぐに伸ばす
・かかとに体重をかける
・腕を体の横につける
を意識して立ってください。
この状態を、10秒間、キープしてください。
これを3回繰り返してください。
床に両ひじをつけて、下向きで寝ます。
腕を伸ばして、腰をそらしください。
その状態を10秒間、キープします。
これを3回繰り返してください。
横向きに寝て、上側の足のひざを90度に曲げて、そのひざを床につけます。
床につけたひざが離れないように手で押さえつつ、上半身を反対側にひねります。
上半身と下半身が反対方向に向いた姿勢を、10秒間、キープします。
反対側の足も同じようにおこなってください。
これを交互に、3回おこなってください。
調理系のパートタイムの方を雇う側の方とお話をしていても、50歳代女性の方は、会話の理解や手際の良さなど、きていただきたい年齢層だとよくお聞きします。
調理の仕事場で双方が望まれる関係性を保つためにも、今回、紹介させていただいたことがみなさまのお役に立てれば幸いです。
それでも調理のお仕事でおこる腰痛が解消できないようでしたら、お近くの治療院にかかられることをおすすめします。
当院でも今回のようなお悩みに対して、施術をおこなっておりますのでご相談ください。
当院では、痛みに対して治療を施すことはもちろんのこと、患者様のお悩みや希望するご自身の将来像ことを、しっかりお聞きし共有させていただきます。
そして、患者様とともに問題を解決していく治療院を目指しております。
また、他に腰痛への対策のブログを書いておりますのでそちらも参考にしていただければ幸いです。
監修 柔道整復師 はり師 きゅう師 ひさき鍼灸整骨院 院長 久木崇広